THE WHO

October 2019 @ T-MOBILE PARK, Seattle, WA –

前座だったリアム・ギャラガーの項でも言いましたが、行くか行かざるか最後まで迷って、59ドル→39ドルにディスカウントされた3階席のチケットをライブ前日にゲット。来日は滅多にしませんが、北米では毎年のようにツアーをするザ・フー。個人的にこれがこの4年で3度目の単独公演観戦です。

前回はラスベガスで数千人キャパのシアター公演、そして今回はMLBシアトルマリナーズの本拠地=T-モバイル・パーク(旧セーフコ・フィールド)が会場。キーアリーナというシアトル唯一の1-2万人規模のアリーナが改修工事で使用不可なため止むを得ない選択。

実際、野球の内野部分にしかフィールド席は設けられておらず、トム・ペティやパール・ジャムなどに比べると明らかに専有面積が狭いです。とはいえ座席数を絞ったのが良かったのか、開演時間には3階席のてっぺんまでお客さんで埋まっていたように見えました。自分の座席もその3階席。ステージは遠いですし、左右のスクリーンも小さいなぁ。

噂通りオーケストラとの共演を特徴とした今回のステージが、ザ・フーの長い50年以上の歴史を辿った映像を流した後で開幕。

地元シアトルのクラシックミュージシャン達がこの夜のために集められリハーサルを重ねたそうです。その重厚なシンフォニーをバックにザ・フーのバンドメンバーが演奏する名盤「Tommy」の曲を中心にして前半のステージが進行します。

赤いちゃんちゃんこ、じゃなくて赤いつなぎにジャケットを羽織ったピート・タウンゼント(74) は相変わらず元気そうです。もう観るのにも慣れちゃって何とも感じなくなってしまいましたが、右手のウィンドミルも健在。服とマッチした赤いストラトキャスターで鋭いトーンのリズムギターを刻みます。

ボーカルのロジャー・ダルトリー (75) も先日のヒューストン公演から喉を傷めて途中休場していたとは思えないほど元気いっぱいで、ハンドマイクを振り回す振り回す。

「Hero Ground Zero」という、来年発売予定のニューアルバムの曲でオーケストラ共演の第一部を締めます。

そして第二部はバンドオンリーのヒットメドレー。

その中でもピートとロジャーの二人だけのアコースティック構成で歌われた「Won’t Get Fooled Again」がハイライトだったでしょうか。

なんか、ゆずのライブみたいでしたけど、このバージョンは痺れましたね。

他に「Substitute」「Behind Blue Eyes」「You Better You Bet」「I Can’t See For Miles」をやった後、再度オーケストラセットの第二部が始まります。

それにしてもですね。10月半ばのシアトルは普通にもう寒いんですよ。野球のシーズンもとっくに終わってますし、この時期の野外、そして夜のイベントはちょっとなかなかありえません。

だって気温が一桁台の摂氏9度ですよ。

9度って、スキー場にいるって言ってもいいぐらいです。なのでめっちゃ寒いです。モモヒキを履いている上に、なんと手袋までしているワタクシ。ライブ中に手袋をしたのはこれが生まれて初めてかも。持ってきて良かったです。なかったらしんどかったです。ロジャーとピートも露骨に寒いと言わないまでも「Chilly」という単語を連発していました。ベースのサポートメンバー、ジョンバットンはダウンジャケットを着ていたぐらいです。

なので寒さがゆえの生理現象でトイレに駆け込まざるを得ません。

トイレ出入口すぐ横にモニターがあって、ピートやオーケストラのメンバーの姿が映っており、ここで温かいお茶を飲みながら観るのも悪くないなと思った次第です。

しかし席に戻るとサプライズが待っていました。

「今夜はスペシャルゲストがあって・・」ということで「チャリティなどで一緒になってからの友達で・・・」といった前振りから「エディ・ヴェダー!」と叫ぶロジャー。

うへーっ!

半ば期待していたというか予期していたというか、シアトル公演なのでパール・ジャムのメンバーの飛び入りはありかもなぁ、と思ってはいたし、その望みを託したのもチケット購入の理由であったわけですが、やっぱり出てきましたかエディ!

ザ・フー&シアトルオーケストラと「The Punk & The Godfather」を歌います。

最後にピート&ロジャーとハグして駆け足でステージを去っていったエディ。しかし彼をスペシャルサプライズゲストとしてライブで観るのもこれが4回目。w)  対してパール・ジャムのライブを観たのはたったの1回だけ。本家本元のコンサートでエディの歌をもっと聞きたいですわ。(かつ1週間前にはピーター・フランプトンのゲストでマット・キャメロンとマイク・マクレディを見たばかり)

その後、重厚なアレンジが施されエンディングのバイオリンソロで泣いた「Baba O’Riley」で2時間半近いセットは終了。

ストーンズもすごいけど同世代のザ・フーは本当にどこまでやるんでしょうか。趣向を変えながら精力的に続くツアー、70台半ばにして枯れない創作意欲。ピート曰く、ツアー先は「Nursing home」なんだそうで。

(20:35-23:00)